「なぜPERが割安さを表す指標として使われているの?」
「PERってどんなときに使えばいいの?」
そんな方に読んでほしい内容です。
どうも。SK2 a.k.a. マンビー(@SK2akaManbe)こと、株式投資で不労所得作るマンです。
PER(株価収益率)という言葉をご存じでしょうか?
株式投資をやったことがある方なら1番最初に勉強する最も基本的な投資用語の1つですよね。株価の割安さを判断する指標で、PERが低いと「割安」、高いと「割高」と判断されます。
では、PERが低いとなぜ割安だと判断されるのでしょうか?
この質問に即答できる方は、この記事を読む価値ないです。他の記事を読んでください。
でも即答できない方は、ぜひこの記事を読んでPERの本当の意味を理解しましょう。正しく理解できれば、PERの便利な使い方やPERの落とし穴、PERでスクリーニングをすることの無意味さが理解できると思います。
※少し計算式が多くなりますが、算数が苦手な人でもわかるようにできるだけ丁寧に説明します
PERが低いと割安だと判断される理由
ご存じの通り、PERは以下の計算式で算出されます。
- PER(株価収益率) = 株価 ÷ 1株益(EPS)
1株益は基本的に固定なので、株価が上がればPERが高くなり、株価が下がればPERが低くなります。つまり、株価が上がるに連れて割安さが失われ、徐々に割高と判断されるようになっていくわけですね。
ここで、1株益は「1株あたりの純利益」なので、以下の計算式で求めることができます。
- 1株益 = 純利益 ÷ 発行済株式数
この1株益の計算式を先ほどのPERの式に当てはめてみます。
- PER = 株価 ÷ (純利益 ÷ 発行済株式数)
つまり、
- PER = 株価 × 発行済株式数 ÷ 純利益
となります。ところで、「株価 × 発行済株式数」は、いわゆる「時価総額」と言われます。ある企業の株をすべて買い集める場合にいくら必要かということです。つまり、PERは以下の式で表すことができます。
- PER = 時価総額 ÷ 純利益
ここで、あなたがある会社の株をすべて買い集めるとします。買い集めるのに必要な資金は以下で計算できます。
- 株価 × 発行済株式数 (= 時価総額)
すべての株を買い集めた場合、会社はあなたのものになるため、当然会社の利益はすべてあなたのフトコロに入ることになります。
では、あなたが株を買い集めるのにかかった資金(投資資金)を回収するためには何年かかるでしょうか?
それは、以下の式で求めることができます。
- 投資資金を回収するのに必要な年数 = 時価総額 ÷ 純利益
「時価総額 ÷ 純利益」は↑の計算式の通り「PER」となるので、
- 投資資金を回収するのに必要な年数 = PER
と言うことができます。
どうでしょう?ここまで大丈夫でしょうか?
つまり理論上、PER=20なら投資資金を回収するのに20年かかり、PER=5ならわずか5年で投資資金を回収できるということになります。
これがPERが低いと割安だと言われる理由です。短い期間で投資資金を回収できた方が当然良い(割安だ)と判断されるのです。
PERの便利な使い方
ここからは、PERの便利な使い方について説明します。
PERは「低いと割安、高いと割高」というだけでなく、この株ならどのくらい儲かりそうか(利益が出るか)という目線で見ることが大事です。
- PER = 株価 ÷ 1株益
上記の計算式から、株価は以下の計算式で求めることができます。
- 株価 = PER × 1株益
ここで、PER=8、1株益=100円だとすると、株価は800円になります。ただし、相場の混乱など一時的な要因でかなり売られ、800円まで下がっていて、通常はPER=13くらいだったとすると、
- 本来の実力(株価) = 13(PER) × 100(1株益) = 1300(円)
つまり、本来の実力まで株価が評価されれば、
- 儲け幅 = 1300(本来の実力) – 800(今の株価) = 500(円)
くらいの儲け幅が取れそうだなとみることができます。
このように、どのくらい儲かりそうかという目線で見ると、複数の投資候補があった場合にどこに投資をすれば最も儲かるか(利益が出るか)が見えてくるのです。
PERの落とし穴
続いて、PERの落とし穴についてです。
PERはとても便利かつ優秀な指標ですが、その計算式ゆえの落とし穴があります。何でもかんでもPERに頼ることはできないのです。
1. 特別損益があるとPERが機能しなくなる
すでに何度も出てきていますが、PERの計算式は以下ですね。
- PER = 株価 ÷ 1株益
で、先ほどの通り1株益をごにょごにょ置き換えていくと以下になります。
- PER = 時価総額 ÷ 純利益
ここで重要なのはPERの計算に純利益を使っている点です。純利益は経常利益に特別損益(本業以外の臨時的・例外的な特別利益や特別損失)を加え、税金などを差し引いた後の利益となります。
- 純利益 = 経常利益 + 特別損益 - 税金等
この「特別損益」が厄介で、土地を売却したとか、持ってる株を売却したとかで出た損益なので、”本来の実力”ではありません。
なので、この特別損益の割合が大きい場合、純利益が異常値になりPERが以上に低くなったり、高くなったりすることがあり、本来の割安度を正確に判断できなくなります。
例えば、以下はある企業の決算短信の一部です。
ご覧いただいてわかるように、「経常利益 < 当期純利益」となっており、当期純利益が異常な値であることがわかると思います。経常利益から税金などが引かれた値が純利益となるため「経常利益 > 純利益」となるのが通常だからです。
実際に損益計算書の部分を見てみると以下のように書かれていました。
経常利益は2700万円弱ですが、固定資産売却益でおよそ2億円ほどの利益が出ており、トータルで2億1200万円ほどの純利益となっています。
こういう場合に、計算式に当てはめてPERを算出しても意味がないんですね。割安・割高を正しく判断することができません。
特別損益で純利益が異常値になっている場合は、経常利益に0.6を掛けた値を純利益として使うと良いと言われています。赤字や特別損益などがない企業であれば、経常利益の0.6倍がおよそ純利益となるからです。
2. 純利益が小さい、または、マイナスならPERは当てにならない
PERの2つ目の落とし穴は、「純利益が小さい、または、マイナスならPERが当てにならなくなる」ことです。
- PER = 時価総額 ÷ 純利益
上記の計算式に当てはめると、純利益がマイナスになれば、PERはマイナスになります。PERは小さければ割安ですが、マイナスが大きければ割安かというとそんなことはないですね。むしろ赤字の企業なら特別な理由がない限りは避けるべきです。
純利益が小さすぎてもPERが極大になり、本来の割安度が判断できなくなります。本来優良な企業なのに、一時的な特別損失で純利益が圧縮されPERが大きくなってしまうということはあり得るのです。
PERでのスクリーニングは意味がない
PERの落とし穴について知ると、PERでスクリーニング(銘柄検索)をするのはあまり意味がないことがわかると思います。
本来優秀な企業が検索結果に出てこなかったり、優秀でない企業が含まれてしまったりするからです。
PERでスクリーニングする場合は、必ず経常利益と純利益にも注目し、純利益が異常値となっていないかチェックしましょう。異常値となっている場合には、損益計算書を見てなぜ異常値になっているのかを確認して投資判断をしてください。
また、本来優良な企業が検索に出てこない可能性があることも頭に入れておきましょう。
PERの意味まとめ
最後に今回の記事をまとめます。
- PERは投資資金を何年で回収できるかを表した指標
- PERが小さければ割安、大きければ割高
- 特別損益の割合が大きい場合、PERは機能しなくなる
PERはとても優秀な投資判断指標なので、僕が実践している「マンビー投資法」の中でも投資判断に使っています。
ただし、PERを確認するのは1番最後。この企業は投資してもOKとなった後に、今購入してよいタイミングなのかを判断するのに使っています。PERには上記のような落とし穴があるので、最初から判断軸にするようなことはありません。
もし、PERでスクリーニングをかける場合は、「PERでのスクリーニングは意味がない」で説明した通り、いくつかのリスクがあることは理解しておいてください。PERや1株益だけで判断しても絶対に失敗しちゃいますよ!
最後までお読みいただきありがとうございました
m(_ _)m
おわりでーす。