IT業界

【SE/SIer/社内SE】仕事内容と年収で見る違いをリアル解説

「SE/SIer/社内SEの違いがよくわからない」

「リアルに年収とかどのくらい違うの?」

そんな疑問を持たれている方に向けた内容です。

 

どうも。SK2 a.k.a. マンビー(@SK2akaManbe)こと、IT業界にどっぷり浸かっているマンです。

SEとかSIerとか社内SEとかいう職種がありますけど、それぞれの仕事内容にどんな違いがあるのかイマイチわかりづらいですよね。

SEと社内SEって全く違いますからね。なんで”SE”という同じ括りにしてるのか…。こんな紛らわしい名前を付けてるから、わかりにくいんだよっていうね。

そこで、この記事では、そんなわかりにくいSE/SIer/社内SEの仕事内容の違いについて徹底解説したいと思います。また、皆さんが1番気になるであろう年収の差についても僕の経験からリアルに語ります

これからIT業界を目指す就活生や、すでにIT業界で働いている人のキャリアプランの参考にしていただければ幸いです。

ちなみに、一口にIT業界と言ってもいくつかに分類できます(下表)。

業界 職種
ソフトウェア業界 システムエンジニア、プログラマ、テスター
ハードウェア業界 サーバー・セキュリティエンジニア
情報処理サービス業界 ITコンサルタント、SIer
インターネット・WEB業界 WEBデザイナー、WEBディレクター

 

僕は2015年まではSE、2016年からはITコンサルとして仕事をしてきたので、今回の話もその部分の話になります(太字部分)。インターネット・WEB業界、ハードウェア業界の話ではありませんので、あしからず。

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IT業界のビジネス構造

まずは以下の図を見てください。この図に今回の記事の内容をすべて詰め込みました

IT企業のビジネス構造(商流)

 

これからのこの図に出てくる、SE/SIer/社内SEの違いについて、詳しく解説していきます。

ちなみに、ピラミッド構造にしていますが、上の方が偉いとかではないです。いずれもシステム開発には欠かせない存在です。

ただし、数としては「一次請け < 二次請け < 三次請け」となっているのは間違いありません。

商流と給料の関係

事業会社(発注元)から、直接仕事を受ける企業のことを「元請け(一次請け)」といいます。

元請け企業が処理できない仕事を他の会社に委託するのですが、元請けから仕事を委託された企業を「下請け(二次請け)」といいます。IT企業の現場では、元請けだけでシステム開発をすることはほぼありません。

また、二次請け企業が処理できない仕事を、さらに他の企業に委託した場合、委託された企業を「三次請け」と呼んでいます。大体、三次請けくらいまで委託すれば、システム開発プロジェクトが成り立つことが多いですかね。

こういった「契約(仕事)の流れ」を商流と言いますが、商流が浅いほど、給料高く、システム構築に関わる責任も重くなってきます

社内SEの仕事内容と年収

まずは、社内SEについて解説します。

  • 企業:事業会社(情報システム部)
  • 年収:~750万円
  • 仕事:構想策定/要件定義・基本設計の承認/保守・運用

 

社内SEとは、事業会社の情報システム部に所属している人のことを指します。

事業会社とは、何かしらの事業を営む会社のことです(そのままですが)。例えば、誰でも知ってるユニクロを思い浮かべてください。

皆さんが良く知る事業会社は、事業を営むために欠かせないシステム(=基幹システム)を必ず持っています

例えば、ユニクロを例に考えると、商品が売れたときに、1つ1つ売上を手計算しているわけではありません。”システム”が売れた商品の商品番号や金額を計算して、日々の売上を集計しているんですね。

それと同時に、店舗にある商品の在庫数を減らしたり、在庫が少なくなったら自動で発注をかけたりといった処理も行っています。

おかげで、店員さんに「これの在庫ありますか?」って聞いたら、バックヤードに戻ってPCで検索すれば、即座に在庫があるかどうかを確認できるというわけです。

このように、事業会社は大昔に手作業でやっていたようなことを、システムを導入することで業務改善・効率化してきました。

社内SEの仕事内容

実際にシステムを使う人は、店舗の人や、営業部、事務部(バックオフィス)の人だったりするわけですが、彼らには彼らの業務があるので、どうやったら業務効率化が図れるのかとか、どういうシステムにするのかという要件を出すことはできないんですね。

そこで登場するのが社内SEというわけです。営業部や事務部など実際にシステムを使う人から業務の流れや課題をヒアリングして、どういうシステムを構築するのか、システム化により何%業務効率がアップするのか、どのくらいコストダウンが見込めるのかを出すんですね(構想策定)。

また、システム化構想を経営層に説明して、承認をもらう必要があります。システム導入には莫大な費用がかかる(規模が大きいと数憶~数十億)ので、承認を得るには相当な理論武装をしないといけません。これは本当に大変ですよ。

GOが出れば、SIerにシステム構築を発注し、要件定義や基本設計を一緒に行いながら、システム導入までプロジェクトが正常に遂行されているかを管理します。

システム導入後は、営業部や事務部の人から、システムに関する問合せを受けたり、不具合があった場合に発注先に改修を依頼したりといった保守・運用がメインになります。

社内SEの年収

社内SEの年収は、事業会社としての規模が大きければ大きいほど高い傾向にあります。

ユニクロくらい大きな会社であれば、30代前半(管理職手前)でも年収1,000万円近い人もいるのではないかと思います。ただ、IT業界の常識として、元請け企業(ITコンサルやSIer)よりは年収が低いというのが、広く知られています。

その他、社内SEについて知っておきたいこと

ちなみに、事業会社の社内SEは、常に情報システム部にいるとは限りません。部署異動で営業部や事務部に異動というのも珍しくないです(逆もしかり)。

考えてみれば当たり前ですが、自分の会社がどういう業務をやっていて、システムに対しどういう不満があるのか、どうしたら業務がより改善されるのかは、実際にその部署で働いてみないとわかりませんからね。

営業部や事務部で仕事をすることで、社内SEとしてさらに磨きがかかるということです。

逆に言うと、ITとずっと関わっていきたいなら、社内SEになっちゃダメですよ。

SIer/ITコンサルタントの仕事内容と年収

続いて、SIer/ITコンサルタントについて説明します。

  • 企業:SIer/ITコンサル/ユーザー子会社
  • 年収:650~1000万円
  • 仕事:構想策定(ITコンサルのみ)/要件定義/基本設計

 

事業会社からシステム構築を受注するのが、SIerやITコンサル、ユーザー子会社になります。

ちなみに、「SIerは”企業”で、SEは”人”」なんていう記事を見かけたりしますが、IT業界に属している人でそんなことを言ってる人は1人もいません。SIerと言えば、システム導入する”企業”も指すし、そういった企業で働く”人”も指します。

SIer/ITコンサルタントの仕事内容

SIerの仕事内容としては、社内SEと業務要件/システム要件を整理して要件定義書を作成したり、要件をシステムに落とすために基本設計書を作成して、社内SEに承認をもらいます。

ここがブレるとシステムを作っても「思ってたのと違う」と利用部門からクレームを受け、最終的なユーザーテストで案件消滅みたいなことにもなりかねないので、非常に責任重大です。

ちなみに、ITコンサルは社内SEと一緒に構想策定から入ることが多いです。社内SEでは知見が足りなかったりするので、能力の高いコンサルに支援を仰ぎながらプロジェクトを進めることが多いんですよね。

基本設計まで完了すると、実際にシステムを作る会社に作業を委託します。SIerやITコンサルに、プログラミングをやらせると単価が高すぎますからね。詳細設計や開発・テストは、ベンダーに任せるのが一般的です。

委託した後は、プロジェクトが順調に遂行されているのかを管理したり、ベンダーからの基本設計書に関する問合せに回答したりします。

システムが一通り完成したら、要件定義・基本設計で決めた通りの動きをするか、品質が担保されているかをテストを行います。

最終的にシステムがベンダーから納品されたら、それを事業会社に納品します。

システム導入後は、社内SEからの問合せに回答したり、不具合改修といった作業とともに、機能追加の提案や新規案件を取りに行きます。

SIer/ITコンサルタントの年収

SIerやITコンサルタントの年収は、IT業界の中でも最も高いです。

僕はITコンサルですが、30代前半(管理職手前)で年収1,000万円を超えた給料明細を見たことがあります(僕じゃないです)。

NTTデータくらいの大手SIerなら管理職手前で同じくらいの給料はもらっているはずです。

ただし、ユーザー子会社SIerはもっと低いです。30代前半で年収500~700万円くらいです。

その他、SIer/ITコンサルタントについて知っておきたいこと

ユーザー子会社SIerというのは、事業会社のシステム部が子会社として切り出された会社のことをいいます。案件の8~9割は親会社のシステム開発と言われています。

コストカットのために切り離されたところがあり、『親会社よりも給料は低いし、親会社のシステムしか触れないし、大手SIerやITコンサルに行った方が絶対給料高いし、幅広くスキルが身に付くのになぁ』と思います。
※『』内は完全に僕の偏見です(が、あながち間違ってないかと)

ユーザー子会社SIerは、大体会社名で見分けがつきます。

「○○情報システム」(○○は親会社の名前)という会社は、ユーザー子会社SIerであることが多いと思います。

SE(システムエンジニア)の仕事内容と年収

最後にSEについて説明します(二次請け、三次請けあわせて説明します)。

  • 企業:システム開発会社(中小企業)/SIer子会社
  • 年収:350~650万円
  • 仕事:詳細設計/開発/テスト

 

元請け企業から受注したシステムを開発するのが、SEやプログラマです。

SEの仕事内容

受領した基本設計書をもとに、詳細設計書を作成し、開発(プログラミング)、テストまでを行います。

基本設計書から詳細設計書に落とす際がシステム構築の肝になるので、元請けとの蜜なコミュニケーションが求められます。システム開発の経験がないSIerが書いた基本設計書って、”絵に描いた餅”だったりするので(笑)

SEとしては、基本設計書通りに作れば問題ないというのも一理ありますが、業務要件やシステム要件にまで首を突っ込んで、システムに対してあるべきを提案してくれる人はかなり優秀なSEといえます。

プログラミングを行う人はプログラマと言われますが、プログラミングしかやらない人はいないですね。キャリアとしても、プログラマ⇒SEというのが一般的な流れです。

あと、システム開発で勘違いしてはいけないのが、システム開発の7~8割がテスト工程だということ。

詳細設計やプログラミングは2~3割で、その後に設計書通りに動くのかというテストにめちゃくちゃ時間がかかるんです。だから、プログラミングやりたいって入社しても、テストが多すぎてギャップを感じる人もいますね。

大規模なシステムになれば、半年~1年くらいテスト工程があることも珍しくないので。

SEの年収

SEの年収ですが、二次請けSEなら30代前半(管理職手前)で、400~650万円、三次請けSEなら300~400万円くらいです。

SEは忙しさに波があり、納期が近くなったり、バグが多発したりすると残業も多くなるので、残業代で稼ぐイメージが強いですね。めちゃくちゃ残業すれば、600万円を超えることもあります。

昨今の働き方改革の流れを受けて、残業代で稼ぐというのもなかなか難しくなっていますが。

その他、SEについて知っておきたいこと

SEの中には、一次請け企業に常駐し、SIerやITコンサルと一緒に要件定義や基本設計を行う人もいます。

僕がまさにそうだったんですが、こういう立場で仕事をしている人はSIerやITコンサルへの転職も検討に入れた方がいいですよ。

やってること変わらないのに、年収にして300万円くらい違いますからね。

もちろん、リーダーとして管理的な動きも求められますし、お客さんと直接会話してシステムの要件を決めていくことになるので責任は重くなりますが、それでも年収300万円ってすごくないですか。

IT業界のビジネス構造からキャリアプランを考える

IT企業のビジネス構造(商流)

再掲になりますが、上記の図からITエンジニアのキャリアプランを考えてみようと思います(もちろん、その人がどうなりたいかによってキャリアプランは異なるので、一概には言えないことは十分に承知しています)。

僕は、理想的なキャリアプランとしては、二次請けSE⇒SIer(⇒社内SE)と進んでいくのが良いと思っています。

なぜなら、こういうキャリプランを歩んできた人は、ITスキルやシステム構築の知見もあり、要件定義~テストまで何をやらせても優秀な人が多いという印象があるからです。

逆にずっとSIerやITコンサルでしか働いたことがない人は、要件定義や基本設計をやっても、「それどうやって実現するの?」っていうような設計したりすることもあって、なかなか難しいなぁという人も少なくないです。

あくまでも僕の考えなので参考程度に聞いてもらいたいのですが、上記のような理由から、まずは下請けSEでITスキルをしっかり学んで、上流工程(要件定義/基本設計)に携わりたいと思ったら、元請けSIerに転職してやっていけば、優秀なエンジニアになれるのかなと思います。

【SE/SIer/社内SE】仕事内容と年収で見る違いまとめ

では、今回の記事を3行でまとめます。

本記事のまとめ
  1. 社内SE ⇒ 事業会社のシステム部の人/年収は大企業ほど高い
  2. SIer = 事業会社からシステム構築を受注する企業やシステム構築を行う人/年収はIT業界No.1
  3. SE = SIerからシステム開発を受注し、実際に開発を行うエンジニア/年収は650万円以下

 

SE/SIer/社内SEの仕事内容と年収の違いを見てきましたが、いかがだったでしょうか?

年収については、僕の経験を踏まえたリアルガチな金額なので、就活生やIT業界で年収アップを狙っている人はぜひ参考にしていただければと思います。

また、IT業界のビジネス構造が見えてきたことで、キャリアプランを考えるきっかけにもなったかなと思います。

社内SE/元請け/下請けにはそれぞれ壁があるため、壁を突破するためには自分で道を切り開いていくしかありません。

今後のキャリアプランをしっかり考えて、壁を破りたいのであれば転職も検討してみてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました
m(_ _)m

おわりでーす。

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