決算分析

【伊藤忠エネクス】四半期決算分析〈2020.4Q〉

「伊藤忠エネクスに投資したい!(投資してる!)」

「伊藤忠エネクスの本決算どうだったの?」

そんな方に向けて、実際に伊藤忠エネクスに投資している僕の決算分析内容を共有します。

 

どうも。SK2 a.k.a. マンビー(@SK2akaManbe)こと、伊藤忠エネクスに投資するマンです。

2020/4/30に、僕のポートフォリオを構成する伊藤忠エネクスの本決算(4Q決算)が発表されました。

伊藤忠エネクス(8133)の投資分析【購入株】この記事では、マンビー投資法に従って購入した伊藤忠エネクス(8133)の投資分析を行います。伊藤忠エネクスの株を購入するにあたり、調べたことや考えたこと、購入に至った経緯などまとめています。...

 

すでに本決算発表から約3ヶ月ほど経過してしまいましたが、決算分析記事を書きたいと思います(ルーズすぎてすみません…)

3Q決算では純利益で過去最高益を更新ながら、10%以上もの減収となっており、配当狙いの投資先として大丈夫かと不安になりましたが、本決算のポイントとしては、

  1. 予算を達成できたのか?(特に売上収益は改善したか?)
  2. 期末配当はいくらか?
  3. 来期の業績・配当予想はどの程度か?

を中心に確認していきたいと思います。

ということで、この記事では↑のポイントをチェックしつつ、伊藤忠エネクスの本決算を振り返り、今後の投資判断を行っていきたいと思います。また、最後に過去業績等の推移もまとめていますので、伊藤忠エネクスに興味のある人はぜひ読んでいってくださいね。

3Q決算の決算分析については以下をご覧ください。

【伊藤忠エネクス】四半期決算分析〈2020.3Q〉この記事では、伊藤忠エネクスの2020年3月期の第3四半期決算について分析しています。結論から言うと、3Q決算は減収増益で、株価は7%以上上昇した(2/7時点)のですが、中身を見ると不安の残る内容でした。...

 

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【伊藤忠エネクス】2020.3Q決算情報

まずは本決算の主な数字については以下の通りです。

伊藤忠エネクスの2020年3月期決算短信より引用

 

前期比で売上収益-10.9%、営業利益+7.9%、税引前利益+3.8%、純利益+7.2%で、3Qと変わらず減収増益という結果でした。売上収益は相変わらず10%以上の減収で、利益面も3Q決算時の2桁増益に及ばず、1桁の増益となってしまいました。それでも純利益は5年連続過去最高益を更新しています。

財政状況

伊藤忠エネクスの2020年3月期決算短信より引用

 

営業キャッシュフローがプラスなのは良いことですね。投資キャッシュフローが大きく減っているのは、事業投資をしていないわけではなく、投資の売却益等による相殺で小さくなっているように見えているだけです。財務キャッシュフローも前期比で103憶くらい増えてますが、有利子負債が減るのは良いことだと思います。

またキャッシュフローの状況として以下のように記載されていました。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う今期キャッシュ・フローへの大きな影響はございません。また、当面の資金調達余力につきましても、潤沢な現金及び現金同等物に加え、十分な当座貸越枠並びに社債(CP)発行枠を確保しております。また、これまでも健全な水準を維持してきたネットDERは0.05倍となっており、実質無借金となっております。

伊藤忠エネクスの2020年3月期決算短信より引用

 

実質無借金経営の意味は分かりかねますが、ネットDER(有利子負債倍率=(有利子負債-現預金)÷自己資本)は、かなり小さい値ですし財政面では問題はないかと思います。

今期配当額と来期業績/配当予想

今期の確定配当額と来期の配当/業績予想は以下の通りです。

伊藤忠エネクスの2020年3月期決算短信より引用

 

2020年3月期の期末配当は23円で確定し年間配当は44円でした。3Q決算時の期末配当予想は21円だったので2円の増配となりました。正直、増配は全く期待していなかっただけにポジティブサプライズでしたね。これで7期連続の増配となりました。

来期の業績・配当予想は新型コロナウイルスの影響を受け「未定」となっていましたが、本決算発表後の5/15に公開された「2021年3月期の業績予想、配当予想及び中期経営計画に関するお知らせ」において、業績・配当予想が発表されております。

2021年3月期の業績予想、配当予想及び中期経営計画に関するお知らせより引用

 

業績予想に関しては、売上収益が20%以上も減収、利益ベースでも10~20%程度の減益とかなり厳しい予想となっていますね。しかし、配当は年間44円を維持を明記してくれました。

コロナ影響により業績も厳しいですが、配当を維持する姿勢を見せてくれたことが素晴らしいなと思いました。減収減益の大きさは気になるところですが、現在の株価水準であれば時間分散を意識して追加投資に踏み切ろうかなと思っています。

各種指標

2020年3月期の本決算を受け投資指標を整理しておきます。この記事を書いている時点での株価(845円)を基準にした各種指標値は以下の通りです。

指標 今期 来期予想 計算式
PER(株価収益率) 7.91 8.67 株価÷1株益
PBR(株価純資産倍率) 0.74 株価÷1株当たり純資産
ROE(自己資本利益率) 9.6% 8.6% 純利益÷自己資本×100
ROA(総資産利益率) 3.1% 2.8% 純利益÷総資産×100
配当利回り 5.21% 5.21% 配当額÷株価×100

 

20%程度の減収減益の来期業績予想ベースで考えても、PER/PBR/配当利回りの観点からはかなり割安と言える水準だと思います。本当に業績予想通りに推移するかは、今後の決算で確認していきましょう。

【PERの意味】PERが低いと割安だと判断される本当の理由PERが低いとなぜ割安だと判断されるのでしょうか?この記事では、PERの本当の意味について解説します。PERを正しく理解できれば、便利な使い方や落とし穴、PERでスクリーニングすることの無意味さが理解できます。...

 

2020.4Q決算に対する見解

伊藤忠エネクスの各事業ごとに概況が書いてありましたので紹介します(補足説明資料にもわかりやすい図があったので引用します)。

伊藤忠エネクスの2020年3月期決算補足説明資料より引用

 

上記は純利益ベースですが、細かく見ていくと以下の通りに記載されていました(長いので簡単にまとめました)。

 

ざっくり言うと、LPガスや石油などのエネルギーは販売数量も低下、販売価格も下落し、売上収益の減少につながっています。利益を牽引したのは、アスファルト販売数量や船舶燃料販売数量の増加、電力事業における利幅の増加ですね。

電力・ユーティリティ事業において、電力調達の安定化等により利幅が改善したことにより、前期比で79.5%も増加になっているのは相変わらず理由が良くわかりませんね。これは来期以降も続くのでしょうか?その辺の話は一切書かれていませんでした。

【伊藤忠エネクス】今後の見通し

今後の見通しとしては以下のように記載されています。

当社業績に与える影響としましては、経済活動の低迷による産業向け燃料の需要減少および外出自粛等によるガソリン需要の減少や自動車販売の減少により収益が減少することが見込まれるため、それらを連結業績予想に反映しております。このような状況下においても、家庭向け燃料や電力販売および物流向け燃料販売等においては堅調に推移することが見込まれるため、安定的な収益を確保してまいります。

2021年3月期の業績予想、配当予想及び中期経営計画に関するお知らせより引用

 

伊藤忠エネクスはエネルギー商社であり、コロナ禍においても必要な事業であることは間違いないのですが、家庭向けや物流向けの燃料販売は堅調に推移するという予想も、経済活動の低迷による産業向け燃料の需要減少や外出自粛によるガソリン需要の減少・自動車販売の減少は避けれられないと言ったところでしょうか。

ちなみにでもないのですが、新型コロナウイルス感染症の影響を考慮のうえ、中期経営計画である「Moving 2020 翔ける」も見直しも発表されました。定量計画も純利益目標を10%以上減額の110億円、投資計画も170億円の縮小となっています。

【伊藤忠エネクス】2020.4Q決算発表後の値動き

4/30の本決算発表前後の株価は以下のように動きました。

※上記チャートはYahoo!様よりお借りしています。ありがとうございます。

値動きに対する私見

4/30の決算を受け、翌日の伊藤忠エネクスの株価は800→787円と1.6%の下落となりましたが、良くも悪くもあまり反応せずといった印象です。これは、増配というポジティブサプライズと業績予想未定というネガティブ(サプライズ)が重なった結果だと思います。

その後は日本株全体の上昇も手伝って、7/25現在では、845円まで戻していますが、日経平均株価の戻りに比べるとかなり戻りが弱いですね。ただ、配当を維持する姿勢を見せてくれたおかげか、下値もかなり底堅い感じがします。

【伊藤忠エネクス】過去の業績のおさらい

2020年の業績が確定したので、過去の業績について簡単におさらいしておきます。

売上高/営業キャッシュフローマージン

【伊藤忠エネクス】売上高/営業キャッシュフローマージン

 

やっぱり、近年の売上高(売上収益)の減少が目立ちますね。特に2020年は酷い。巷の噂では40年以上減配していないらしいのですが、この売上高の推移&コロナ影響を考えると不安でしかありません。

経常利益/純利益/配当額

【伊藤忠エネクス】経常利益/純利益/配当額

 

配当は2014年より7期連続の増配となっていますが、増配のペースがすごいですね。わずか7年で16円→44円と2.75倍に増えてますからね。さすがに今後はこのペースでの増配はあり得ないと断言できますが、少しずつでいいので連続増配をして、連続増配銘柄としてのイメージを市場に与えていってほしいですね。

利益剰余金

【伊藤忠エネクス】利益剰余金

 

2015年以降は利益剰余金はずっと増加していますが、利益剰余金を配当総額で割った値(※僕は配当維持年数と呼んでいます)は、増配の勢いが凄くて近年は右肩下がりの傾向です。それでも直近は配当維持年数も安定しています。このように配当維持年数を適切にコントロールしながら増配を続けていってもらえると個人的には安心ですね。

配当額/配当性向

【伊藤忠エネクス】配当額/配当性向

 

直近は配当性向40%程度と低めで安定しており、業績が現状維持であれば配当維持は間違いないでしょう。2011年に創立50周年記念配当が4円出ています。10年毎の記念配当なら2021年も期末配当に記念配当が出る可能性が高いと思います。

【伊藤忠エネクス】四半期決算分析〈2020.4Q〉まとめ

それでは今回の記事をまとめます。

本記事のまとめ
  1. 減収増益(増益幅は3Q決算に比べ減少)で着地
  2. 来期は大幅な減収減益予想も配当予想は44円を維持
  3. 次回1Q決算でコロナ影響の大きさをしっかり確認

 

何度も言ってますが、売上収益が大幅に減少しているのがどうしても気になります。環境問題や次々と新しい技術が出てくる中で天然ガスや石油などのエネルギー価格は今後も下落傾向にあると思うので、そこらへんをどう補っていくのか、既存事業の拡大と新事業の創出に期待したいです。

また、コロナ禍にも関わらず配当を維持する姿勢を見せてくれたことは素直に嬉しいですし、賞賛・感謝したいと思います。

7/31には1Q決算が発表されるので、コロナ影響の大きさをしっかり確認しつつ、どのくらい追加投資するかを決めたいと思います。やはり配当利回り5%超えは魅力的すぎますからね!

この記事を書いた時点での分析です。
投資は自己責任でお願いします。

 

僕が掲げるマンビー投資法の投資方針や手法は以下の記事にまとめています。

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最後までお読みいただきありがとうございました
m(_ _)m

おわりでーす。

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