決算分析

【イオンフィナンシャルサービス】四半期決算分析〈2020.3Q〉

イオンフィナンシャルサービスの2020年2月期3Q決算が、先日(2020/2/14)発表されましたので、3ヶ月に1度の決算分析をします。

イオンフィナンシャルサービスを投資先として検討している、すでに投資しているという方に向けた内容です。

 

どうも。SK2 a.k.a. マンビー(@SK2akaManbe)こと、イオンフィナンシャルサービスに投資するマンです。

イオンフィナンシャルサービスの2020年第3四半期決算が発表されてすでに1ヶ月程経ってしまいましたが、ようやく決算分析を行いたいと思います。

コロナウイルス拡大懸念による世界的な株安&円高、2月末の配当権利落ち、期末決算の下方修正懸念という、トリプルパンチを受けてイオンフィナンシャルサービスの株価も2/18につけた直近の高値より22%以上も急落し、3/6時点でついに年初来安値を更新してしまいました。

安値を更新すること自体は、マンビー投資法にとっては特にコメントすることはありませんが、やはり1番気になるのが決算の内容です。1ページ目だけを見ると確かに悪い。下方修正は避けられないだろうというくらいに悪いんです。

ということで、なんで悪くなっちゃったのか、投資を継続するに値するのか(減配しないのか)という点でイオンフィナンシャルサービスの決算分析を行っていきたいと思います。

イオンフィナンシャルサービスの投資分析については以下の記事をご覧ください。

【購入株】イオンフィナンシャルサービス(8570)の投資分析僕は「マンビー投資法」をかかげ日々実行していく中で、先日イオンフィナンシャルサービスの株を購入しました。本記事では株を購入するにあたり、調べたことや考えたこと、購入に至った経緯などを紹介したいと思います。...

また、2Q決算分析については以下の記事に書いています。

【イオンフィナンシャルサービス】四半期決算分析〈2020.2Q〉この記事では、イオンフィナンシャルサービスの2020年2月期の第2四半期決算について分析しています。マンビー投資法により購入したイオンフィナンシャルサービスですが、2Q決算の業績はどうだったのでしょうか?...

 

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【イオンフィナンシャルサービス】3Q決算情報

まずは、3Q決算ですが主な数字は以下の通りです。

イオンフィナンシャルサービスの2020年3Q決算概要

AFSの2020年2月期第3四半期決算短信より引用

 

前年同期比で営業収益+9.8%、営業利益-17.3%、経常利益-16.8%、純利益-25.1%となり、「増収減益」という結果で3Qを着地しています。

また、業績予想に対する経常利益の進捗率は62.5%と、過去5年分の業績と比較してもしてもかなり悪いです。

年度 3Q実績 本決算実績 進捗率
2016年 42,235 59,380 71.1%
2017年 42,277 61,606 68.6%
2018年 44,733 65,746 68.0%
2019年 52,576 70,171 74.9%
2020年 43,763 70,000(予想) 62.5%

 

この進捗率にも関わらず、今年度は変則決算であと2ヶ月しか残ってませんからね(というか、この記事を書いている時点ではもう終わってますけど)。進捗率だけを見ると期末決算の下方修正はほぼ間違いないように思われます。

前回発表からの業績&配当予想修正

前回の決算発表からの業績修正、及び、配当予想修正はありませんでした。

イオンフィナンシャルサービスの2020年2月期決算通期予想(3Q決算発表)

AFSの2020年2月期第2四半期決算短信より引用

 

2/26(権利付き最終日)に株を持っていた人は39円の決算配当を貰う権利を得ることができました。僕ももちろん権利はもらっていて、現在200株保有中なので、7,800円ほどの配当金を得ることができます。

また、このブログでもお伝えしている通り、2019年4月より2月期決算に変更となったことにより、業績予想は2019/4~2020/2までの11ヶ月決算となっています。

3Q決算に対する見解

2020年第3四半期までの総括として、以下のように記載されていました。

当社は、当第3四半期連結累計期間において、国内では、10月からの消費増税に伴い政府が進めるキャッシュレス推進に合わせて獲得した会員さまに対し、継続してご利用いただけるよう、公共料金等引落登録やカードショッピング利用に関連した各種キャンペーンを実施しメインカード化を推進いたしました。さらには、資産形成サービス等の銀行商品のご提案によるクロスユースの促進にも繋げています。海外では、デジタルの活用による顧客基盤の拡大や営業、審査、回収における業務の効率化に努めました。
その結果、連結業績は、営業収益が3,561億20百万円(前年同期比109.8%)となりました。国内においては、キャッシュレス推進施策に伴う販売促進費用の増加海外においては、現地または当社連結調整にてIFRS9号「金融商品」を適用するタイ、マレーシア、香港を中心に、営業債権の積み上がりや経済環境の変化への対応等に伴う貸倒引当金繰入額の増加、また2019年11月1日に開示しておりますフィリピンの現地法人で判明した過年度における不適切会計の影響等により、営業利益は431憶39百万円(同82.7%)、経常利益は437億63百万円(同83.2%)、親会社に帰属する四半期純利益は222憶43百万円(同74.9%)となりました。

AFSの2020年2月期第3四半期決算短信より引用

 

ちょっと長いので、太字のところだけ読んでもらえれば良いのですが、簡単に要約しますと、以下のような感じかなと。

 

国内においては、2Q決算(~2019年9月)までは、政府が進めるキャッシュレス推進の波に乗り、新規会員獲得のための施策を実施してきましたが、3Qでは獲得した会員に対しメインカードとして使ってもらうべく様々な施策を実施してきたということです。

海外においては、2Q決算と書いてある内容はほぼ変わっていません。しかし、「貸倒引当金繰入額の増加」というのが気になったので、自分なりに調べてみました(2Q決算のときに調べとけよというツッコミはなしでw)

貸倒引当金繰入額というのは、一言でいうと、「債権残高のうち、次期以降貸し倒れになることが予想される金額」だそうです。

決算説明会資料によると、IFRS9号の適用により、営業債権のうち正常債権に対しても貸倒引当金繰入額を計上する必要があるらしく、昨年までの会計基準では計上していない費用を計上したため、営業利益率が減少したと読み取れます。

また、営業債権残高(=お金を貸したり、商品やサービスを販売・提供したとき、まだ回収できていない代金)の積み上がりにより、貸倒引当金繰入額が増加したとも記載されていました(下図※イメージ)。

 

投資家の独り言(※思ったことを書いてるだけ)

ここからは、イオンフィナンシャルサービスに投資する一人の投資家としての独り言を書きます。とりあえず、思ったことを整理しとこうというのが目的です。

僕は会計に詳しいわけでもないし、金融業に詳しいわけでもなく、決算短信を読んでもよくわかっていないようなやつなので、この独り言を決して信じちゃいけませんよ。これを参考に取引はしないようにお願いします!

国内(リテール/ソリューション)

国内・リテールに関しては、営業利益は前年同期比100%で、非常に好調だった昨年と同水準ということで問題ないと思います。

国内・ソリューションに関しては、キャッシュレス推進施策に伴う販売促進費用の増加のため、営業利益が低下するのはやむなしで、誰もがわかっていたことです。増収にはなっているので、最低限の目標はクリアと言ったところかと思います。

今後、新規に獲得した会員のイオンクレジットカードのメインカード化が進めば大きなリターンが見込まれます。メインカード化が進むかは今後の取り組みに期待したいと思います。

クレジットカードは一度メインカード化すれば、簡単に変わるようなものではないため、クレジットカードを持ってない、または、あまり使う機会の少なかった若年層に向けたキャンペーン等々の戦略は大当たりだと思ってます。

ということで、国内・ソリューションはクレジットカードのメインカード化戦略がカギとなりそうです。

国際(中華圏/メコン圏/マレー圏)

国際・中華圏は、減収減益でした。米中貿易摩擦の影響や香港デモ活動の長期化で貸倒費用が増加したのが原因とのことです。これに関しては世界情勢でどうにでも変わるのでコメントは特にありません。

カード会員拡大に努めるなどやるべきことはやっているので、波があると思って国際情勢が落ち着くのを待つのみかなぁと。

国際・メコン圏は、増収減益でした。減収となった主な原因は「IFRS9号適用による貸倒関連費用の増加」で、正常債権に対する貸倒関連費用は前年度より約24億円も多く計上されていました。

逆に言えば、前年の会計基準を適用していれば、約24億円もの貸倒関連費用を計上する必要はなく、それを加味すると、営業利益は前年同期比を上回り、増収増益となっていたと思われます。

ということで、メコン圏に関しては前年との会計基準の差で営業利益が小さく見えているだけで、営業債権の回収がきちんと進めば全く問題なさそうです。

国際・マレー圏は、増収減益でした。特に営業利益に関しては前年同期比で46.1%と大きく減益となってました。その理由は大きく3つあり、1つは前年のマレーシア政府補助金施策により延滞債権残高が減少したこと、2つ目はIFRS9号適用による貸倒引当金繰入額の増加、3つ目は不適切会計の影響です。

1つ目は前年のマレーシア情勢が良かっただけですし、2つ目はメコン圏と同じ理由で問題ないと思います。3つ目は一時的なものなので今後に影響は与えません。

ということで、3つの理由が重なり営業利益は前年同期比だと半分以下になっていますが、来年以降はかなり改善されると思います。

「IFRS9号適用による貸倒引当金繰入額の増加」について

IFRS9号適用による貸倒引当金繰入額の増加により、営業利益が圧縮されているという話が決算短信や決算説明資料にちょくちょく出てきてましたので、どういうことなのかちょっと考えてみました(うまく文章にまとめきれなかったので箇条書きで書いてます)。

  • 営業債権残高(=売上)は順調に積み上がっている
  • 営業債権残高が拡大すると、今年から適用したIFRS9号により、貸倒関連費用が昨年よりも(会計上)増加する
  • 貸倒関連費用が増加すると営業利益が圧縮される
  • 昨年と会計基準が違うため、3Q時点での営業利益率悪化は仕方がない
  • 営業債権をきちんと回収できれば貸倒関連費用も減り、営業利益率も改善されるはず
  • 期末に向けて回収も進むはず(変則決算なので今年はどうなるか不明)
  • 大事なのは営業債権をきちんと回収できること

つらつら書いてしまいましたが、つまり、IFRS9号の適用により営業利益率が悪化していますが、営業債権の回収が進めば、営業利益率も改善されるのではないか、というのが僕の推測です。会計とか全くわからないので、頓珍漢なことを書いてるかもしれませんが。

しかし、上記が正しいとすると、イオンフィナンシャルサービスにとって最も大事なのは営業債権をきちんと回収することになります。

ここで問題となるのが、新型コロナの影響による景気悪化の懸念です。景気が悪化すれば、営業債権を回収できないリスクが高まるからです。そう考えると、結局、新型コロナ懸念がどれだけ経済に影響を与えるかが直近の業績のポイントになるのかなと思いました。

目下、円高も急速に進行しており、海外での利益が40%以上あるイオンフィナンシャルサービスにとっては向かい風ですし、営業債権が回収できなくなれば業績に相当な打撃を与えることは間違いありません。

しかし、新型異なウイルスは致死率が高いわけではないですし、健常者はしっかり療養すれば治るものだとも言われているので、個人的にはメディアや政府が騒ぎすぎな印象を受けます。

率直に言うと、僕はそんなに心配してないです(COVID-19なめすぎ?)

3Q決算の総評と今後の投資に向けて

見た目(決算短信の1ページ目)の印象よりは、全然安心できる内容かと思いました。減収の理由がはっきりしたことで、不安が払拭されたという感じでしょうか。

イオンフィナンシャルサービスとしては、顧客基盤の拡大に向けてやるべきことをやっていて、順調に営業収益を伸ばすことができていると言えますし、この内容なら減配もしないと思います。

金融業ということもあり、景気に左右されやすい業種ではあると思うので、新型コロナの経済的な影響がどこまで拡大するかというのが、直近の業績の肝になるでしょう。

配当狙いの長期投資というのもあり、新型コロナのような一時的だと思われるリスクに対してはわりと楽観視しているので、株価が今の水準なら買い増ししていこうかなと思います。

3/6の終値で1,430円で、NYダウも260円以上値下がりしており、週明けはさらに下がると思います。直近のターゲットは1400円未満で探っていきます。

長くなってしまいましたが、ここまで独り言を言いました。

【イオンフィナンシャルサービス】3Q決算発表後の値動き

決算短信の1ページ目だけを見た印象では150円くらい下げるかもなと思ったのですが、前日比で約1.4%上昇して引けました。

イオンフィナンシャルサービス3Q決算発表後の値動き

※上記はYahoo!様よりお借りしています。いつもありがとうございます。

値動きに対する見解

決算発表翌日に株価が上昇したのは予想外でしたが、ちゃんと決算の内容を分析した後で改めてみると納得感もあります。市場参加者はしっかり決算の内容を見ていたということかもしれません。配当の権利日が近かったというのも株価を支えた要因の1つだとは思いますが。

ただ結局、新型コロナ懸念の影響で株価は年初来安値を更新してしまいましたけどね(笑)

こういう株価の値動きを見ていると、一時的な配当目的で株を買うことはおすすめできないなぁと。配当目的なら長期目線で考えないと、今回のようなこともありますからね。

【イオンフィナンシャルサービス】四半期決算分析〈2020.3Q〉まとめ

それでは今回の記事のまとめです。

本記事のまとめ
  1. 2020年2月期3Q決算は増収減益
  2. IFRS9号の適用により、(会計上の)営業利益が圧縮
  3. 内容は悪くない、継続して投資&追加買い増しを検討

 

3Q決算は増収減益で、減益の方が非常に大きかったので心配していましたが、内容見ると全く悪くないと思います。IFRS9号の適用により、営業利益が圧縮されているだけで、営業債権をきちんと回収できれば問題ないので。

ただ、新型コロナの影響で景気悪化が深刻化すれば、本当に貸倒れしてしまうリスクも高くはなるので、正直、今後どうなるかは全くわからないですね(笑)

僕は新型コロナを楽観視していて、影響も短期的なものだと思ってますので、今の株価の水準なら買い増ししていこうと思ってます。でも、下方修正の可能性はありますし、やっぱり怖いので買い増しは慎重に行います。

あと、注目したいのは来期の業績予想ですね。来期は会計基準の違いによる影響は出ないので、そんなに悪い予想は出てこないとは思いますが、新型コロナの影響で超弱気な業績予想を出してくる可能性もありますから。さすがに減配はないと思いますが。

世界的な株安で大きな不安を抱える投資家さんも多いと思いますが、投資は自分で考えて、自分で結論を出して行動するしかないので、不安に押しつぶされずに自分が何をすべきかをしっかり考えていきましょう!!

この記事を書いた時点での分析です。
投資は自己責任でお願いします。

 

僕はマンビー投資法に従って投資をしています。

 

最後までお読みいただきありがとうございました
m(_ _)m

おわりでーす。

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